親離れ、子離れという言葉をよく聞く、長期化したひきこもりの一つの大きなテーマは、母子の共依存問題である。
子どもは成人に達しても、親の世話なしには生きられない、また、母親は成人をとうに達しても、子どもを世話することを自分の生きがいと勘違いしてしまうことである。
それをどう防ぐか、自分の子どもは不登校でも、ひきこもりでもないが、普通の場合はどうなのか、この旅を通して考えてみた。
子どもの時の親子関係から大人同士の親子関係への変化は、確認を通しての変化である。その主なものは委譲であると私は思っている。
この子は、もう自主的に判断し行動出来るかの確認を大人として客観的に判断することだと思う。その要素は、社会性であり、その中身は、自ら判断し行動する積極性であり、コミュニケーション力、人間関係力、情報処理能力、ITスキル等であり、コンプライアンスを含む、善悪の判断の規範能力等で構成されたものが、社会人としての能力であると思っている。それらを獲得していたら、子どもから大人になったと判断してよい。それが出来れば、判断と行動を本人自身に移譲してよいと考えている。そうなると、旅も連れて行く旅から連れられていく旅になる。
今回の旅、子ども達に事前に渡したものは、ロードマップ等で評判が良かった昭文社のまっぷるスペイン編、彼らは読みもしないから、大丈夫かなと最初は思っていたが、彼らなりに準備する。まっぷるリンクをアプリを使いスマートホンにダウンロード、スペインで使えるWi-Fiを業者に注文していた。これにインターホンのGPS機能を利用し、グーグルマップを使えれば、ナビになる。どこへでも、自由に行ける。
バルセロナに着き、世界遺産のファミリア聖堂、ParcGuell,lau de la Musica Catalana,等の事前予約はスマートホンで済ませてくれた。自分の子であるが、凄いと思った。
旅にはトラブルが付きもの、娘の部屋のセフテーボックスが壊れていた。中に入れたパスポート、財布が取り出せない、弟はこんなことはあることだから、フロントに話せば解決すると判断、フロントで交渉、ボックスの記憶装置が壊れているとのこと、無事解決、私は見守るだけ、彼らが考え判断行動する。
委譲する時である。
彼らは自分で考え、判断、行動ができる。それが分かれば、後は、彼らの案内に従い旅をする。
ひきこもりの人で大学を卒業している人もいたが、ひきこもりを解決するために、海外旅行を何度も行ったが、このレベルに成長している者は残念ながらいなかった。海外で行う認知行動療法の終着駅が見えた旅だった。